2011年10月27日木曜日

「一勝九敗」柳井正 書評97



新潮社、2003年刊。フリースの大ブームが何年間か有り、ユニクロの年商が下がった「踊り場時代」、そして玉塚氏を社長に据えた頃の本。柳井市が創業以来の歩みを振り返っている。執筆時の業績で少し弱気になっているのか「60から65才当たりで引退しようと」などと心にもないことを書いていたりする。この数年後には玉塚氏を放逐し、帝国を再び率いることになる。

本書は、柳井氏が意識的に
1.新しいビジネス・モデルの構築を目指したこと(ポーターの2極競争理論の意識的な否定行動)
2.経営資源の発展段階による創発戦略の繰り出し
を行ったことを確認できる。

私が近著「超実践的経営戦略メソッド」(日本実業出版社)で事例としてユニクロを取り上げたときは、本書を資料・文献として取り上げなかった。今回読了して、同社の過去の行動規範が(この資料を使わなかったにもかかわらず)私の分析と全く合致していたことを確認できた。

もちろん、稀代の創業経営者、柳井正の経営本としても汲むべきところは大きい。発信を続ける経営者として、松下幸之助亡き後、注視傾聴していきたい。

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