2012年8月13日月曜日

『良い戦略、悪い戦略』リチャード・ルメルト 書評147(2)

戦略策定上でルメルトが示した優れた認識は、まず目標と課題についてである。

ルメルトは、悪い戦略では目標を戦略ととりちがえ、単にスローガンを掲げて終わっていることが多い、と指摘している。また全社として目指す「最終目標」と各部門が担当する「戦略目標」を区別せよ、とも主張している。

良い戦略は「重要な課題」を見極める、とも言っている。ルメルトは「目標」と「課題」についての違いについて意識しているのだが、両者の関係(構造)についてまでの踏み込んだ知見は示していない。また「重要な課題にフォーカス」することが大切だ、ともしているがその技法を示しているわけではない。

良い戦略には「カーネル」という構造がある、との指摘は正しい。しかし、そのコンポーネントが「診断」「基本方針」「行動」の3つだけで括られているのは、要素不全でありまた相互の機能(つまりモデリング)が十全とまでは言えない。

(この項 続く)

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