2012年2月29日水曜日

パナソニック社長交代、津賀一宏社長の再生戦略は「家まるごと」だ

パナソニック社大坪文雄社長は交代すべきだ、と2月4日のブログに書いた。月を跨がずして、社長交代が発表された。

津賀一宏新社長がTV事業部の出身だと読み顔をしかめたのだが、実際にはプラズマ事業の縮小の実行者だという。それならよいのではないか。

「エコ&スマート」と早くもスローガンを掲げたが、エコもスマートも競合が世界にひしめき合っている。ここは、今現在の「家丸ごと」が良いのではないか。

私がキッチンハウス社で社長だった時代、ハウスメーカーとしてのナショナルの底力と、家の中に使う機器や素材の多様さに強く印象づけられた。キッチンだけの単品メーカーに出来ないことが山ほど在った。

フィリップスライティング社の社長時代には、日本最大の照明機器メーカーである松下電器の総合力には、ここ日本ではとても太刀打ちできなかった。

パナソニックは、これらの強みを「ハウス事業」に結集できる。新築だけではなく、メンテやスマート・ハウス化で商機は計り知れない。総合的に対応できるメーカーはパナソニックが群を抜いている。「強みを追求して利益を保全する」これが経営戦略の王道だ。

2012年2月27日月曜日

緻密なフィクション「知識デザイン企業」(5) 紺野登 書評129(5)

第3章以降、本書は「創造経営」や「知識創造パラダイム」、「アート・カンパニー」そして「知識デザイン」などの興味を引く用語と概念を押し立てて、新しい経営モデルを力説している。

これらの理論の構成は平仄が取れていて、破綻が見られない。しかし、啓蒙する経営モデルの理論整合性と実現可能性は別のモノでもある。第1章で掲げられた成功事例企業は、紺野氏の経営モデルを具現した結果と言うより、それぞれの傑出したそして例外的な経営者の存在による個別な成功だったと言うべきだろう。

また、紺野氏の出自が建築設計であり、桑沢デザイン研究所という日本でも最高峰のデザイン機関に属されていた。結果、氏の経営モデルはデザインという領域への愛に偏していると言わざるを得ない。一方、経営の現場には出られていないご経歴が示されている。

紺野氏が本書で見せてくれた経営モデルは優秀な氏の頭脳の中で練り上げられたモノである。それはそれで完結しているかも知れないが、世の経営者がフォローして行けるようなモノとは思えない。

(本項漸く終わり)

2012年2月25日土曜日

ゲイリー・ハメル (2)

さて、ハメル教授が
「米国企業は(略)創造ムーブメントへの転換にも恐らく20年かかるだろう」
としたと、紺野登氏が引用している(『知識デザイン企業』紺野登東洋経済新報社)。これをどう読むか。
2/23のブログで私は
「ここでハメルが『創造ムーブメントへの転換が起こる』ということを前提にして言っていることは明らかだ」
と書いたのだが、ハメル(1)を振り返って、2/23コメントは撤回・訂正する。

ハメルは上述で
「分からない」
と言っているのだ。
「創造企業へのムーブメントが起こりかけているのかもしれないが、”分からない”。またそれが全体を席巻するか、”分からない”。仮に”起こったとしても”20年掛かるだろう」
というのが真意だろう。

『コア・コンピタンス経営』では「15年後を見据えろ」と言い、今度は「20年後には起こっているかも知れない」などと、「証明できないことを前提に論を立てる」のが得意なのがこの教授なわけだ。20年後の状態など、誰が検証するか。私も、ハメル教授も紺野氏も、三人が皆生存している割合を考えてみたい。

問題はこのような「分からない」というステートメントを、アファーマティブ(自説補強的)に引用して立論している紺野氏の御論をどう受け止めるか、である。ハメルのステートメントを「創造ムーブメントへの転換が起こる、起きている」と牽強なさったようでもあるが、、
(紺野登氏『知識デザイン企業』書評(5)に続く)

2012年2月24日金曜日

ゲイリー・ハメル(『コア・コンピタンス経営』)は誠実 (1)

ゲイリー がC.K.プラハラードと『コア・コンピタンス経営』を著したのが1994年。中核となる企業の強みを確立し、マーケットを制覇しようとの力強いメッセージが世界を席巻した。
二人はまた、
「15年後の業界の様子を予想して、それに対処して今から備えよう」
と啓蒙したものである。

私は2011年に著した前著『超実践的経営戦略メソッド』(日本実業出版)で
「そんな先のことが分かる経営者などいやしない」
と揶揄した。そして
「ゲイリー達が同書で最も持ち上げたEDSなる会社も、21世紀を待たずして消滅してしまったではないか」
とも指摘した。

ゲイリー・ハメルという学者は実はなかなかのもので、前世紀中に自説を撤回している(こちらの方はあまり知られていない)。さらには率直に
「戦略産業の少しダーティな秘密は、戦略創造に関する理論など存在しないことだ」(拙著109頁)
とまで告白しているのだ。

さて、同教授は
「米国企業は(略)創造ムーブメントへの転換にも恐らく20年かかるだろう」
と発言したとされている(『知識デザイン企業』紺野登東洋経済新報社)。これをどう読むか。

2012年2月23日木曜日

「プロフェッショナルリーダーの教科書」 電子書籍も好調!

東洋経済新報社より2011年に刊行した、経営者ブートキャンプの授業を文字通り教科書としてライブ化した本。

フィービーからオーディオブックとして発売され、本日時点で大好評。
「リーダーシップ」のカテゴリーで売上げ3位
「経営戦略」のカテゴリーで同5位

6人の講師が6章を分けて執筆しているので、「聴学」するのに向いている構成でもある。
http://www.febe.jp/product/109906


また電子書籍下記サイトでも好調な動きという。

TSUTAYA GALAPAGOS/ http://bit.ly/yvCF5n  
紀伊國屋bookwebPLUS/ http://bit.ly/xmD7sE
ReaderStore/   http://bit.ly/wI3uYY
honto/ http://bit.ly/whogZV   
booklive!/     http://bit.ly/xQfyyo   
楽天Raboo! http://bit.ly/zhBMni

コア・コンピタンスの幻影 「知識デザイン企業」(4) 紺野登 書評129(4)


C.K.プラハラード
 最先端的な成功企業を事例に新しい経営セオリー(本書では「創造経営パラダイム」)を提唱する論法には既知感を感じた。

ある、と思ったらやはり「コア・コンピタンス経営」だった。共著者のC.K.プラハラードの『ネクスト・マーケット』が引用されているし、ゲイリー・ハメルの

「米国企業は(略)創造ムーブメントへの転換にもおそらく20年かかるだろう」

という言説を紹介している。ここでハメルが「創造ムーブメントへの転換が起こる」ということを前提にして言っていることは明らかだ。

紺野氏はこのハメルの「創造ムーブメント」パラダイムが既に起きている、あるいは起きつつある、または起きなければならない、という前提で論を進め始めたのだが、、、

(すみません、後数回で終わろうと思います)

2012年2月22日水曜日

「知識デザイン企業」(3) 紺野登 書評129(3)

本書では第2章に至り、「創造経営」の概念を押し立ててその優位性を説く。

そこで企業事例としてあげられているのが
― サムソン
― アップル
ー オーティコン (デンマークの補聴器メーカー: とてもよい会社らしい、知らなかった)
― 成功しているパティシエ (特に固有名詞なし)

いずれもきらびやかな成功例だが、私が拙著で旧来の戦略セオリー本でありがちな陥穽としてあげたのが
「ここ数年で突出して成功した企業事例を掲げセオリー立てをするのだが、悩ましいのは、当該書が発表されて数年して、成功を持続している企業の方が少ない」
と言うことだった。

紺野氏の第2章を読み進んで、
「もしかして、、」
といやな気がした。
果たして、後半でパナソニック中村会長のプラズマ・ディスプレイを称揚し、
「プロダクトの定義が変わった」
と解説している。
紺野氏が只今著作を著したとすると、パナソニックのTV事業についてどう評価されるのだろう。

(この項まだ続く)

2012年2月21日火曜日

「知識デザイン企業」(2) 紺野登 書評129(2)

本書は知的刺激に溢れて素敵な本である。

第1章では「知識経営」という概念を提出している。その前提として「ナレッジ・ワーカー」の時代を宣言しているわけだ。
「ナレッジ・ワーカー」は「自らの主観性、価値観が組織や経営者のそれとし合致したときにしか創造的な行為を行わない」と著者はしているが、私の会社にこんな社員が出現したら解任することになる。労働力不足の時代が日本に来ることは確かだが、それでも経営者は選択的な雇用に固執することだろう。

「情報、社員個々人の知識、ノウハウを資産としてみなす組織モデルにがらりと変わったのだ」:そんなことはないだろう。

「知識こそが価値を生み樽最も重要な資源であるという認識はいまや人々に広く共有されている」:著者の周りだけでは共有されているのだろう。

「知識経済の時代が到来している」;「未だその全容を著さないグローバル知識経済前にして」:続いている2つのセンテンス。どちらなのか。

「今日私たちが直面している課題に、適切な処方箋を見つけ出すことは出来ない」:前段の「課題」とは何なのか。それが示される、定義されない場合、このようなステートメントをアジテーションという。

(この項続く)

2012年2月20日月曜日

「知識デザイン企業」(1) 紺野登 書評129

日本経済新聞出版社、2008年刊。
新しい経営モデルとして、「アート・カンパニー」を提唱。興味津々で本書を開いた。

第1章で企業事例としてあげられたのがグーグル!それは最も成功しているわけだが、最先端、つまり最異端なわけで。グーグルの経営を称揚するのはよいが、それを皆がやれ、ということとなると。出来ない企業は(グーグル以外皆!)「トホホ、、」でないか。

次の事例がアップル!「ジョブスのようにやれ」と言われても困るだろう。ジョブスが居ればこそのアップルだったわけで、ジョブスのようなCEOがいない他の全ての会社はどうすればいい?

それからヴァージン航空とスターバックスだって?これらの会社の経営者を「美的マネジャー」と著者は名付けた。
こういう例外的に成功している企業事例だけを使えば、どんな経営モデルも正当化できると思う。
そして、上述のような会社を称して「アート・カンパニー」と呼ぶわけだが、、

(この項続く)


2012年2月18日土曜日

「おすすめ勉強本」書評サイトが「非常に有益」と

「人生の勉強を目指して」本を紹介してくれている「おすすめ勉強本」サイトが2月18日記事で紹介いただいた。

(引用の一部)
(略) 戦略立案については前述の通り簡単に実施ができ、あっという間に「資源発展段階対応型の創発戦略」が作れます。また作った戦略をパワーポイントに落とし込む手順が説明されているので、ステークホルダー向けの提案文書も簡単に作成できます。
経営戦略分析の手法については、、、(略)  いずれの経営戦略も「分析」を目的としたものなので、戦略立案を行うためには活用できない、という提言が印象的でした。それぞれの解説が理にかなっていて、非常に参考になりました。そのポイントは本書にて。(略)

経営者や事業部長にオススメの本ですが、それに携わっていないビジネスマンが読んでも、事業計画の判断基準が勉強できるので、非常に有益な本であると思います。

http://hookbook.at.webry.info/201202/article_9.html

2012年2月17日金曜日

「プロフェッショナルリーダーの教科書」オーディオブック 書評128

東洋経済新報社より2011年に刊行した、経営者ブートキャンプの授業を文字通り教科書としてライブ化した本。

このたびフィービーからオーディオブックとして発売された。幸い売れ行きも良い、とのこと。4時間強の音源なので、通勤の途中に聞くのにぴったり。

6人の講師が6章を分けて執筆しているので、「聴学」するのに向いている構成でもある。
http://www.febe.jp/product/109906

また電子書籍でも東洋経済新報社から発行された。

「華僑・華人事典」書評127

游 仲勲他編、弘文堂、2002年刊。

昨日香港の鉄人リー・カシンを取り上げたので書く。

「華僑・華人事典」は1,000頁、18,000円、日本華僑華人学会が総力を挙げて編纂した基礎的となる学術文献である。執筆者も100人ほどの研究者が専門の項目ごとに分担している。

華僑実業家の最大の大物リー・カシンは私が執筆している。私は、その他に主として香港の実業家を中心に15項目ほど執筆・解説した。

薫陶を受けた游 仲勲先生はご引退なさり、私も華僑華人学会からは退会している。http://www.amazon.co.jp/dp/4335550804

2012年2月16日木曜日

評論家となったドリーム・キッズ「日本大転換 」出井伸之 書評126

     
ソニーのストリンガー社長が交代する。2,900億円という空前の赤字による。この10年間ほどソニーの業績は坂道を転げ落ち続けてきた。ストリンガー社長の前任者は?ということで出井氏の著書を開いてみた。

日本の再生、再成長について種々の視点を提案し、転換への方策を啓蒙している。発信力と切り口に長けているところから、著者は評論家としてはよいのかもしれない。しかし、ご当人の現役時代のことがあるので私には素直に読みにくい。あのソニーをこんなにしてしまった、ルーツ経営者としてストリンガーより罪は重いだろう。

「デジタル・ドリームキッズ」なる斬新な標語をひっさげて登場した、このスター経営者がCEOだった時代を通じて、売上げ、利益、株価、ソニーらしい大型新製品の欠如など、企業価値は大きく棄損した。

「あの人が言っていることでしょう?」   幻冬舎新書、2009年刊。

2012年2月15日水曜日

経営者ブートキャンプ、第5期5月開講決定

経営者ブートキャンプとは

経営者・リーダー人材の育成と輩出を行う経営者JPと、海外MBAスクールから国内大学院まであらゆる形態のビジネススクールで学びながら6社の経営改革をなし遂げた山田修氏がともに構想したこれまでにない、経営理論と実践を融合させた、実務経営者が教える経営者講座、その名も「実践・経営者ブートキャンプ」

2010年4月経営者JP創業直後にスタートし「“実践に基づく理論”の実践」を軸に設計され、明日を担う経営者・幹部達の集う学びの場となりました。おかげさまで、ついに第5期を迎えます!

第1期開講から4期を重ね、その間、受講経営者・幹部各位は事業変革、新市場進出、新任事業リーダーとしての着任、起業、成長、海外展開等それぞれの経営テーマ、事業課題の解決を続々と成し遂げられています。

「“実践に基づく理論”の実践」を軸に設計された、まさに【ブートキャンプ】の名にふさわしい、現場実践活用型で筋肉質の経営体質を養う、他にはない自社戦略策定プログラムです。
htmlhttp://www.keieisha.jp/kbc/


どんな環境でも勝ち続ける成長戦略を策定したい!
経営体質を改善したい!

など、 現状に危機感を抱き、変革・創造の意欲にあふれる経営者・幹部の方
は是非奮ってご参加ください。

(経営者JP社のメルマガより転載)

香港の鉄人 リー・カシン(李嘉誠)

14ヶ月ぶりに香港に行ってきた。夜景をさらにライトアップするシンフォニー・オブ・ザ・ライトを堪能した。

丁度先週、香港と言うよりアジアを代表する華僑実業家であるリー・カシンの死亡説が流れた。日経では、リー・カシンが率いる企業グループでフラッグシップ企業である長江実業の株価が堅調に推移していることを、夕刊で結構なスペースとチャートで解説していた。リー・カシンの死亡説に対しての情報出しである。

中国本土から外に出た中華系の人たちで第1世代を華僑といい、第2世代以後を華人と呼び分ける。リー・カシンは香港華僑実業家の大立て者で、そのビジネス展開と影響力は、香港だけでなく中国本土から東南アジア全体に及んでいる。長男、次男の会社を通じて日本にも結構な資産を保有している。 ソニーの故大賀会長が買って、体調不良で手放した千代田区のマンションを長男が入手したが、確か10億円前後だったかと。2005年のことだったか。キッチンハウスの社長をしていた関係で見せて貰った。

2012年2月12日日曜日

「どんな問題もシンプルに解決する技術」 車塚元章 書評125

 同文館出版、最新刊。

車塚元章氏は、「問題解決」を専門としている経営コンサルタント。この分野での研修指導歴が多いという。

経営者からビジネスパーソンまで、現場で誰もが直面する個々の「問題」を解決する技法を整理し、分かりやすく解説している。

従来有った技法だけでなく、著者独自のツールや整理の仕方で、実践的に「問題」への取り組み方を指南しているところが本書の特長。「ゼロ込みプラン」「空雨傘」という略語や、「問題書きだしシート」「実効計画書」などのツールなど、現場での指導歴の豊富さを彷彿させる。

「問題」を抱えてない人はいない。分かりやすく、すぐ役に立つ実践的な書となっている好著である。http://www.amazon.co.jp/dp/4495597019

2012年2月11日土曜日

ライフネット生命 出口治明社長 経営者ブートキャンプで熱弁



ライフネット生命 出口治明社長 が経営者ブートキャンプのクラスで午後中熱弁をふるってくれて、夜の懇親会にも付き合ってくれた。

2時間の特別講義「私の人間観、経営観」では、古典を読み込んだ深い教養に裏付けられた見識を披露してくれた。
「経営は数字・ファクト・ロジックで意思決定をしていけば迷わない」
「採用は面談無しで、字数無制限の小論文を提出させて決定する」
「経営者に必要なのは、1)強い思い、2)説得力と共感力、3)統率力」など。

その後、3名の参加者による「当社の3年戦略発表」にも出席してくれて、特別コメンテーターとして貴重な助言をしてくれる。講義、発表会、懇親会を通じ、参加経営者も納得の話、目を開く話が続出した。ありがとう、出口さん!

http://www.keieisha.jp/kbc/

2012年2月10日金曜日

PPMもまだ使える?



ボストン・コンサルティング・グループが提唱したご存じPPM(ピーター・ポール&マリー)。BCGマトリックスとも言われています。プロダクト(商品)・ポートフォリオ・マネージメントとは言うけれど、あれは実はプロジェクト・マネージメントではないのか。つまり、事業の入れ替えモデルだということ。

今週、これは東京の会社を訪れたときに引用したのがこのPPM。つまり、その会社の主要事業を「金のなる木」と見立て、幾つも展開しだしている新規事業を「問題児」と見立てて話をしたら、分かりやすい議論となった。

BCGはこのセオリーを「限定要素が多すぎる」ということで、引っ込めてしまったそう(というか、他のモデルを売り出した)だが、まだまだ使える場面がある。何より分かりやすい。

コンサル会社が新しいモデルを引っ張り出すのは、芸能プロダクションが常に新しいタレントをデビューさせるのと似ている。でも、70年代の歌謡曲やフォークソングなどはいいものがあった。PPMは今どうしている?

経営者個別指導 「経営塾」 実は需要が

経営者個別指導「経営塾」という向きの相談を、年を明けて幾つかいただいた。いずれも初代創業経営者からの依頼である。
新社長や2代目に経営者としての知識・技能・覚悟などを短期に授けて欲しい、ということだ

りそなマネジメントスクールで1年間にわたって展開しているような内容を、個別で短期に、という具合に収斂できる。同プログラムでは私が「組織と戦略」という講を担当していることもあるようだ。

今月から開始した山田経営塾は6回予定。1対1の個別指導で、1日1.5時間コマを3つ。1つは課題図書(経営書)を読んできて貰って、セオリーを討議する。もう1つは、私が主要な機能別戦略を、私の経営体験・実践を絡めながら講義する。3講目は「戦略カードとシナリオ・ライティング」で当社の3年戦略を作って貰う。最終回には、社長から創業者へ3年戦略を発表して貰う、というプログラムで進行している。

同じような相談を立て続けに貰って感じたことは、そのような需めが実はあったのだが、このレベルに対して指導をするプログラムが不在していた、ということである。指導できるコンサルタントの限定ということもあったろう。私がお役に立てそうな分野だ。

中島孝志氏「通勤快読」(大手書評サイト)に書評 「経営戦略メソッド」


中島孝志氏「通勤快読」はビジネス書評サイト及びメルマガとして知られている有名サイト。
中島氏ご自身はビジネス評論家であり、「月刊中島」の異名をとる多作なビジネス書作家。大手書店に行けば「中島孝志コーナー」が設置されている。
私の昔の本で、講談社から出版したモノは中島さんのご紹介による。

本日の「通勤快読」で拙著を取り上げて貰った。

http://www.keymannet.co.jp/c15

追記: 取り上げて貰ったのだけど、中島さんのサイトは会員制となっていて、内容が分からない。どなたか、どんな書評が書かれたかご存じの方は教えてください。

2012年2月9日木曜日

大王製紙 井川高雄前顧問 結局はファミリー・ビジネス

大王製紙 井川高雄前顧問が、関連会社であるエリエール社の臨時株主総会で現役員全員を解任する成り行き。元顧問の子息である大王製紙社井川意高前会長に融資した関連会社7社で同様の措置を求めている。創業家側の持ち分比率が高いため、実現しそうであるという報道。

大王製紙は大会社となり、公開会社となったが、内実は結局ファミリー・ビジネス(同族会社)であったと言うことだ。実はよくある形態。ファミリー・ビジネスであること自体は別に悪い経営形態ではない。近年の経営学的調査では純然たる公開企業よりファミリー・ビジネスの方が収益性、成長性共に優れていることが明らかにされてきている。

大王製紙グループでの問題は、だから単純に後継社長の資質とガバナンスということだったわけだ。井川高雄氏がまた経営を掌中に戻したいというのは理解できるし、業績のことを考えれば悪いことではないのかも知れない。問題はこの偉大な企業家の”後”ということなのだろう。子息が司直の手に落ちた後、このファミリーにはどんな人材が残っているのだろうか。

「社長・幹部のための、勉強法;戦略立案法」セミナー 実施


16時と19時から2回、各2時間を実施。両回とも満席。
山田修氏が主任講師を務める経営勉強会。山田氏が長年の歳月をかけて一つ一つ解き明かし完成させた魔法のような戦略パッケージ。「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法であなたの頭の中に詰まっていたものをどんどん引き出し、目から鱗の解決策・戦略が生み出される!

『〈超実践的〉経営戦略メソッド』 出版記念公開セミナーのお知らせ
講師:山田 修
6社を再生させたプロ経営者が教える!
社長・幹部のための、儲かる・成功する勉強法&戦略立案法
(経営者JP メルマガから転載)

経営者ブートキャンプ第5期の説明会も実施。

2012年2月8日水曜日

「社長のための勉強法」 連載20 (最終回!)

オフ・ビジネスでも自分磨きを(6)
③コンディションを整え、外の刺激を求めよう  


 体のコンディションを維持・向上させることも社長には重要だ。「ゴルフを月一度程度」では不足だろう。ジム・ワークをしたり、ジョギング、テニス、水泳、自転車など運動する習慣をつくろう。フィジカル面でもエリートにならなければ、社長業という激務を続けていくのは難しい。体を動かす習慣をつけ、快眠を心がける。かかりつけ医師をつくり、その先生に会うことを少なくとも隔月の習慣としたい。



 そして、このように心身のコンディションを整えつつ、外の業界やビジネス以外の集まりや交遊を求めに出かけてみよう。自分の会社や業界だけの交流では、その枠を越えた成長は期待できない。積極的に外の刺激を求めにいくことをお勧めする。
 頭、心、体……これらを三位一体として勉強し、死ぬまで自分自身の向上を心がけて生きることが、経営者には求められているのである。

2012年2月7日火曜日

「あなたの会社は部長がつぶす!」 山田修 書評124

フォレスト出版、2010年刊。

自著を「書評」というのはおかしな話だが、書評して貰ったことを報告するので。

「わかりやすさをコーディネイト」という書評ブログで1月31日に取り上げて貰った。
http://d.hatena.ne.jp/roy/20120131/p1#c

(一部引用)   さすがに外資系企業に雇われ社長になり、短期間で業績を回復させたというだけあり、結論としては「辞めて頂く」というお話が多い。この大ナタを、日本企業で社長がいきなり振るえるかには疑問も残る。ただ、本当に問題があると感じるなら、ここまでの覚悟を持ってやる必要がある、あるいはこうやって何社も業績を回復させた人がいる事実は知って置いて良いだろう。 (引用終わり)
この書評では相当長く取り上げて貰っている。
本書は、アマゾンでの売上げが数日間だけだったが、総合1位を達成した。ちなみにその時に2位としたのは、「1Q84」(村上春樹)だった。

「雇われ社長のプロの仕事術」(ぱる出版) 3月新著のタイトル

新著作のタイトル:
「雇われ社長」プロの仕事術」
~社長は4つのことだけやればいい!~

業績を回復、伸張させる経営モデルである「繁栄の黄金律」をベースに、それを構成する経営行動の4つのグループを個別に解説。最終章では、「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法を分かりやすく解説。

セオリーや学説に深入りしないで、経営を上手くやる秘訣を分かりやすく解き明かした書となる。

念校完了。タイトル変更。
ぱる出版から3月に刊行の予定。

2012年2月6日月曜日

星野リゾート 星野佳路社長 「7割りできたら、褒めろ」

「プロフェッショナル仕事の流儀」NHKTV2月6日放映。

星野リゾート 星野佳路社長は、昨年から注目している経営者だ。進行している経営者ブートキャンプ第4期でも数回にわたり取り上げ、クラスの中で分析してきた。

今晩のTV番組で、星野社長が自分の原点とも言うべき「重要な言葉」を標題のように述べた。同氏が大学時代、アイスホッケー部の主将時代、出来ない後輩への厳しい接し様を、同部の監督がこの言葉で諭したという。

3月に出版する拙著「雇われ社長のプロの仕事術」(パル出版)でも、同社長のことは結構取り上げて書いた。私なりの、星野経営の分析をご参照いただきたい。

アマゾンに新しいレビュー

アマゾンで7つめの読者レビューがアップ。今まで全て星5つ、ではなく5つめだけは星三つ(あえて引用しないがそれも納得感があるご指摘)。

7つめのレビューは、、、。 投稿者の企画コンサルKさん、ありがとうとしか言いようがない。

(引用) 著者の高い到達点に敬意, 2012/2/6
今まで、長年の間、この著者の出版物を読ませてもらい、実際に試みてきました。この本は、既に10冊を超える山田氏の経営本のなかでももっとも高い所に到達したもので、同時に人間的成長を感じさせます。
 
本人の経歴、実績は既に知られているとおりですが、自分で会社を立て直す時代を卒業し、人を育てることを新しい使命とされたようです。
 
もし自分の会社を何とか成長させ、利益ある会社にしたいと心底思うならば、この本に記されていることを謙虚に試みることが大いに役立ちます。更には、山田氏本人を講師に迎え、会社のトップと限られた幹部で、この本をテキストにして研修することが出来れば、成果を上げる最も確実な方法であったと解るはずです。
 
 http://www.amazon.co.jp/dp/4534048602

「社長のための勉強法」 連載19

オフ・ビジネスでも自分磨きを(5)

③コンディションを整え、外の刺激を求めよう  

 社外では「常在戦場」の心構えでいたい。現場では逆に、いつでも「平常心」でいたい。会社においては社長の指揮、そして意思決定が決定的に重要だからだ。  

 「平常心」のレベルを高めるにはどうしたらよいか。まずは心身のコンディションづくりに励みたい。これも広い意味で、社長の勉強である。  

心のコンディションを保ち、胆識を養うには読書の習慣が不可欠である。ビジネス書や経営者の類の読書については前に述べたが、人間力を養うには、東西の古典といわれる書物に親しむことだ。文学でもよいし、社会学系の書物でもよい。時間という水に洗われて残った、古典といわれるスタンダードには必ず価値があり、人間のグレードを上げていくのに役立つ。

2012年2月5日日曜日

戦う教授が待望の新刊 「サラリーマンがやってはいけない90のリスト」福田秀人 書評123

パル出版、最新刊。 ランチェスター戦略学会副会長、経営者ブートキャンプ特別講師など。 昨年の初め、福田さんに私は「2011年は福田さんの年になりますよ」と申し上げた。                       活発に著作活動をなさっている福田さんの主張・見解に世の経営者、ビジネスパーソンが耳を傾け始めるだろうと確信していたからだ。 果たして、東洋経済新報社から近年立て続けに4冊も刊行された「福田ランチェスター本」が、昨秋から支持を受け始めている。                                        今回の本は、リーダー論や経営の話とは逆に、「自分の部下」に焦点を合わせた話。例によって福田さんならではのユニークな切り口である。

「福田・部下論」では「部下性悪説」に立つだけでなく、「部下の方が上司より優位な立場にあり、サラリーマンが潰される最大の脅威は自分の部下である」という事実を鋭利に描出している。福田さんはその自説を、元経営者としての立場と学者としての立場の両方から論出している。「エージェンシー理論」など組織経済学やランチェスター戦略の理論などを繰り出して、従来のリーダーシップ論や成長戦略の誤謬などを厳しく論断している。

「経営常識」とされてきたことが福田さんにより乱麻を斬るがごとく捌かれているのを読むのは愉快であり、目を開かされる。本書の構成が、各1項目必ず2頁見開きという体裁なので、字数の限定に苦労されているところもあるが、それは本書の功績に比べれば、僅かな瑕疵と言うべきであろう。一読すべき、端倪すべからず一書が出た。

「社長のための勉強法」 連載18

オフ・ビジネスでも自分磨きを(4)

②胆識を磨く  

新将命氏は「経営者には知識・見識を越えた胆識が必要になる」と説いている。同氏によれば、「知識とは単に情報の類を取り集めること」、「見識とは知識に自分の考え方を加えたもの」のことだ。そして「胆識とは、見識の上に立って、決断を下し断行できる力」だという。  

それではどうしたら「胆識」を獲得し、磨き上げることができるのか。それは、社長自らの価値観を磨き上げることによる。いったい自分にとって(つまり会社にとって)どんなことが重要で、どんなことがそうでないのか。実現したいこと、保持したいこと、残したいことはどんなことで、それらの優先順位は何なのか。  

社長の中でこれらの優先順位(つまり価値観)が醸成されていれば、ビジネスでの決断に対して迷いがなくなっていく。「大事なものは何なのか」を求め続けていくと、不思議なことに経営もうまくいくのである。

2012年2月4日土曜日

パナソニック 大坪文夫社長 最悪決算 弱々しい発表

昨日のブログで松下幸之助の「道をひらく」(PHP研究所)を取り上げたら、本日はパナソニックの今期見通しの下方訂正発表のニュースに接した。今期の赤字が7,800億円になると!その額は日本の製造業としては史上1位になるかもしれない、というではないか。

プラズマが液晶との戦争に敗れたことは仕方がないとして、敗色が明らかになっていたときに新工場の建設を取りやめなかった経営判断は失敗だった。自らを後継指名してくれた「プラズマ推進教祖」の中村会長への忖度があったのではないか。

それにしても、見通し発表での大坪社長の弱々しい印象はどうだろう。とても日本を代表する数兆円企業のトップの有様とは見えない。「来年はV字型回復を」など、戯言を言う前に、中村会長共々、引責辞任をすべき巨額赤字ではないか。


2012年2月3日金曜日

幸之助翁は詩人「道をひらく」 書評122


PHP研究所、1968年刊。

経営者の座右の書である、と言うのは今更であろう。国文専攻だった私としては、幸之助翁の文章について感想を。本書は「PHP」誌の裏表紙に連載された単文エッセーの中から、121篇を選んだモノと前文にある。原記事の性格上、まず字数に制約があり各篇500字までと数えた。この短いエッセーで例えば「志を立てよう」という一篇を取り上げる。

最初の段落はこうだ。
「志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。命をかけるほどの思いで志を立てよう。志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたといってよい。」
ごく短い文が続いている。「立てよう」が脚韻として踏まれている。この二つの技巧により、メッセージが畳みかけられて読者に到達する。注意を喚起し、興味を覚えさせる。そこに最後にその理由や便益が手短に述べられて、読者のアクションを啓発する。とても力強いアピールとなっているわけだ。

最後の段落はこうだ。
「志を立てよう。自分のためにも、他人のためにも、そしてお互いの国、日本のためにも。」
最初の段落に対して、ここでの文頭「志を立てよう」が呼応している。文章構成として一貫していて見事だ。そしてこの段落でも「ためにも」が3回繰り返されて、畳かけのリズムが形成されている。読者に対しての呼びかけが強く残った形でこのエッセー1篇を閉じている。

見事な文才であり、内容、そして発言者と相まって恐るべき影響力を発揮している文章を紡ぎ出している。

2月8日(水)開催 ※残席僅少!!6社再生の実践戦略メソッド

経営者ブートキャンプの経営手法、エッセンスを凝縮して学べるまたとないチャンスが2月8日に!

6社を再生させたプロ経営者が教える!
社長・幹部のための儲かる・成功する勉強法&戦略立案法

(1)16:00~18:00(受付:15:40~)
(2)19:00~21:00(受付:18:40~)

※詳細・参加お申込はこちらから
http://www.keieisha.jp/seminar120125.html
残席僅少、ご興味のある方はお急ぎください!

当日は、参加者の皆様からの、日々の経営や勉強法に関する具体的なご質問、ご相談にも、
山田修先生に時間の許す限りご回答いただきます。また当日は「経営者のための「実践・経営者ブートキャンプ」6ヵ月講座についての詳細プログラム・質問会も設けます。


【お問い合わせ】株式会社 経営者JP・セミナー運営事務局 責任者:中村(なかむら)
メールアドレス:info@keieisha.jp
※メールにてお問い合わせください。24時間以内にご返信申し上げます。

(経営者JP社よりのメルマガの転載)

2012年2月2日木曜日

セイコーマート 赤尾昭彦会長 「続けることは変わり続けること」


2月2日放映カンブリア宮殿。

未知の情報を与えてくれて新鮮だった。
― 日本のコンビニはセブン=イレブンが嚆矢ではなく、その前に3社有ったこと。
― 3社の内、残っているのは北海道ベースのセイコーマートであること。
― 北海道においては全国規模のコンビニを差し置いて1,000店の出店をして、北海道中をカバーしていること。
― 通常のコンビニはアイテム数2千ほどだが、同社では4千ほど。過疎地においても無くてはならない小売りとして歓迎されていること。
― 地産地消、安売り、チラシ活用など、他の全国コンビニとは異なる経営展開をしていること。

酒類卸の営業をしていた創業者である赤尾会長のインタビューで端的に印象に残ったのが、
「続けることは変わり続けること」
だった。勉強させて貰った。

2012年2月1日水曜日

帝国ホテルで大規模講演会 「変革型リーダーの条件」

某業界の新年会で標題の講演。この業界の経営者、350名に話す。

さすが帝国ホテル、私がロビーで時間を潰していたら、講演会場の係の方が
「山田先生ですか?」
と、声を掛けてくれて会場まで案内してくれた。