2013年10月21日月曜日

『不本意な敗戦 エルピーダの戦い』坂本幸雄 書評183(2)) 吼える破産経営者

エルピーダーメモリ社を倒産させた著者坂本幸雄前社長は、「社員をひとりも解雇することなく再生することができました」
と、している。

同社の社員数は連結で約5,500人だそうなので、その雇用が確保されたのは結構なことだ。そして坂本前社長は、雇用もそうだが、相対としての技術集積が保全されたことが重要だと本書で強調している。

しかし、その雇用がいくらで購われたかについては触れていない。同社倒産時の負債総額は4480億円と製造業では過去最大と報道されている。おおざっぱに言うと、ひとりの社員の雇用確保に、外部の金約1億円が負担された。そしてそれについては、外部の会社ーつまり債権者ーは同意したわけでも何でもない。単純に迷惑を被ったのだ。4480億円の債権がどのように放棄されあるいは弁済されたかについても勿論本書では触れられていない。それどころか本書で坂本氏は、、、
(この項 続く)