2013年11月2日土曜日

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君達へ』K.クリステンセン他 書評184(3)

その一つは、クリステンセン教授が近年大病を立て続けに患い、遂に退官を余儀なくされたという事情がある。2007年に心臓発作、2009年には癌。抗ガン治療を行っている最中に脳梗塞に倒れ、1度は言語能力をほぼ喪失した。

超人的なリハビリを実施して教壇に戻ってきた意志と規律、努力する力、、、

もう一つの理由は、HBSのOBが民間会社、それも著名でグローバルでさえあるような多くでCEOとして位人臣を極めるケースにはいとまがない。しかし、著者の観察によれば、そのようなポジションに就いたのに、あるいは就いたからこそ、プライベートあるいはパーソナル・ベースでは不幸な状況に陥ってしまうのをたくさん見てきたことだ。

これら二つの理由は相俟って、著者に「経営者の幸福」ということをしみじみと考えさせた。規模は違えど同じく経営者やそれを目指す人たちを教導している私が本書に大きく共感する由縁である。

クリステンセン教授の幸福観は二つの要素から形成されてきた。それらは、、、

(この項 続く)