2014年12月7日日曜日

香港デモで露呈した中国の“本性” 失墜したアジアの国際金融都市、香港集中から分散へ(3)


●アジアの国際ビジネス・センター、分散の時代へ

 路上占拠の強制排除が行われれば、「東洋の真珠」が失う輝きは大きい。香港が享受し国際資本を引きつけてきた自由経済・自由統治が実は「蟷螂の斧」のように危ういモノ、少なくとも中国の思惑三寸によるものだということが世界中に示されてしまった。

これにより、アジアにおける国際金融センターとしての位置付けは低下し、グローバル企業が置くアジア・パシフィック本社の拠点立地としての競争力は一段と低下していく。欧米、日本などの大企業は、すでにアジア本部をシンガポールや上海などに置くところが多くなってきている。

 今後はアジアのどの都市が、香港に代わって国際ビジネス・センターの役目を果たすようになっていくか。その答は「集中」ではなく「分散」だと考えられる。具体的にはシンガポール、上海に加え、イスラム商圏の中心となるマレーシアのクアラルンプール、2億5000万人の消費者を擁するインドネシアのジャカルタ、東南アジアの経済発展国タイのバンコクなどが、それぞれビジネスの中心地となっていく。こうした「分散」は、アジアの発展にとって「一極集中」よりも望ましいことといえよう。

(この項 続く)

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