2015年3月29日日曜日

大塚家具、優勢だった父・会長はなぜ大敗したのか?具体論なき感情的発言連発の代償(2)

金融機関などの機関投資家や個人株主などの一般株主は、「雪崩を打って」久美子氏支持に走ったのだ。ということは逆に、株主総会までは優勢だった勝久氏が「下手を打った」と評することができるが、一体何が両者の明暗を分けたのだろうか。それは、コミュニケーション力の差であった。

●「知」対「情」


 株主総会当日、再び『ワイド!スクランブル』に出演した筆者は、久美子氏の基本的なコミュニケーション姿勢を「知」、勝久氏のそれを「情」だと解説した。まだ総会での帰趨が決する前の時間帯だった。久美子氏は国立大学を出て大手銀行でもまれ、自らコンサルティング会社を立ち上げた経験もあり、中期経営計画の策定やプレゼンなどに長けている。記者会見にも一人で出席し自らの主張を説明している。

それらの論理的なアプローチが、総会前に米系投資ファンドと2大議決権助言会社の支持を取り付けた。一方、勝久氏は子飼いの社員
たちやフランスベッドなど取引先株主の支持を取り付けていた。この「知」対「情」アプローチが、株主総会で両者の明暗を分けたのである。

例年の10倍となる約200人もの株主が出席し、通常の約3倍となる3時間強を要した総会の議長は、社長である久美子氏が務めたが、淡々とした調子で冷静に議事を進行した。勝久氏は取締役席ではなく、あえて平場の株主席から株主として発言した。

「クーデターによって、1月28日、社長の座を奪われた大塚です」という言葉で始まった勝久氏の長い発言の後、久美子氏は次のように切り返した。

(この項 続く)

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