2015年5月10日日曜日

ソニーの命運 事業ポートフォリオセオリー戦略次第(3)

復活への道筋とは

 ソニーがこれから発展の道筋を探すとすれば、現有の事業ポートフォリオを上手に組み合わせていくほかはない。ちなみにここでいう事業ポートフォリオとは、事業の組み合わせ(プロジェクト・ポートフォリオ)のことであり、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント:製品の組み合わせ)ではない。事業ポートフォリオは全社戦略レベルで、プロダクト・ポートフォリオはマーケティング戦略レベルで効果的となるセオリーだ。

デバイス事業はBtoCに比べて高マージンが期待でき、安定性があるため、このまま注力すべき 「花形事業」 だ。一方のテレビ事業は、PC事業に次いで売却したほうがいい。家電の単一事業は海外メーカーとの長期的な競争に耐えられない、事業ポートフォリオ・セオリーで「負け犬事業」だからだ。

 銀行・保険・不動産などの金融事業を「キャッシュ・カウ(金のなる木)事業」として、ここから出てくる資金を活用して新しい組み合わせ事業を開発する。現有の事業として映画や音楽などのコンテンツがあり、モバイルなどの通信技術がある。ソニーのITデジタル技術は、まだ一流だろう。加えて「プレイステーション」は世界を席巻しており、さまざまなサービスやコンテンツを消費者へ提供するプラットフォームとして使える。

 ソニーはこれらのハード、ソフト、コンテンツを組み合わせ、新しいビジネスモデルを提案できる。そのためには、エレキ部門の単一製品レベルの枠を超えるものでなければならない。現有の個別事業のそれぞれを「プロブレム・チルドレン(問題児事業)」と捉えて、組み合わせ糾合により「スター(花形事業)」を現出させるのだ。

(この項 続く)

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