2015年7月8日水曜日

ヨドバシ.comがスゴすぎる?アマゾンより速い!卓越した非常識経営(6)

ショールーミングをあえて取り込む


 小売業界で忌避されている「ショールーミング」とは、顧客が店頭で商品を検討して、購入自体は楽天やアマゾンなどの通販サイトで行うことだが、ヨドバシの場合は、顧客の購入をヨドバシ.comに誘導する仕組みを構築した。

 かつて、レンタルビデオ最大手のTSUTAYAが「クリック・モルタル」というマーケティング手法で一世を風靡した。消費者はネットで検索して実店舗に足を運び、購買につなげるという方法。ヨドバシの場合、「逆クリック・モルタル」といえるかもしれない。つまり、店頭で見て(あるいはネットで広範に情報を集めて)ヨドバシ.comで購買させるというやり方だ。セブン&アイHDが推進するオムニチャネルとも考え方が違う。

 ヨドバシのネット通販での売り上げは、14年3月期に650億円に達したとされる。15年3月期には1000億円に到達するのではないかという観測もあった。国内年商2000億円といわれるアマゾンの売り上げを追い抜くと期待されているのがヨドバシだ。ヨドバシ.comでカバーしている商品数は300万点を超え、家電という枠をとっくに外れている。

 ヨドバシは、どこまで独自の経営戦略を研ぎ澄ませていくのだろうか。家電量販店というドメインやネット通販というドメインをどう融合させ、あるいは新しい業態を構築していくのだろうか。経営戦略的な観点から、とても興味が持てる企業だ。

(この項 終わり)

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