2016年10月18日火曜日

セブン&アイ、深まる混迷と社内に鬱積する不満…「皆の意見を聞く」井阪社長の限界(3)

しかし、「その席」とは「その責」でもある。

事業会社と持ち株会社、舵取りの作法が違う


 井阪氏のセブン&アイHD社長就任に一番とまどったのが、井阪氏自身であろう。井阪氏は青山学院大学を卒業して新卒入社して以来、セブン-イレブン一筋できた、典型的なサラリーマン社長である。その間、ずっと鈴木氏がグループのトップに君臨していた。井阪氏は鈴木氏の指導の下、セブン-イレブンという同じ会社で業務を遂行してきた。本格的なコンビニエンスストアとして日本でも先発的な会社で、その業態に手本とする他社はなく、ユニークな経営形態を自在に発展させてきた。


 そんな特異な会社で井阪氏は社長として近年辣腕を振るってきた。しかし、それはあくまで鈴木CEO(最高経営責任者)のもとでのCOO(最高執行責任者)としてであり、セブン-イレブンというひとつの事業会社以外にまったく経験を広げることはないままに、持ち株会社のトップに就任させられたのである。

(この項 続く)

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