2016年12月19日月曜日

シャープの晩節を汚した高橋興三前社長 「2016経営者残念大賞」第3位(5)

残念な点(2):意思決定ができない経営者


 高橋氏が社長に着任したときに、すでに業績の負担となっていたのがメキシコのテレビ工場だった。高橋政権下で売却が何度も検討されたが、高橋氏は決断しなかった。

 着任翌年の14年7月には、「現在利益を出しているので売却したら株主代表訴訟を起こされる」として売却断念の意向を報道陣に漏らした。ところがさらに15年に入り、この工場は中国の会社に売却してしまうことになる。赤か白か優柔不断、赤にした後、白になる。わずか2年の間にひとつの案件だけでこの始末だった。

 15年5月には、中期経営計画を策定し直して発表した。しかし、シャープの最大の構造的な問題だった液晶事業については手付かずで、高橋氏は「液晶がなければ、再建計画は成り立たない」と言い切った。

 ところが同年8月になると液晶事業の分社化検討を発表したのである。方針も、戦略も経営者としての矜持も見られない変節である。15年6月の株主総会では、株主からの「辞職しろ」「責任を取れ」などのコメントが飛び交い、社長以下役員は頭を下げることを重ねるばかりだった。

(この項 続く)

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