2017年11月1日水曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(8)

「目標設定」の次に「課題の認識」が戦略策定のステップとしてくる。このとき、「重要課題」は先に設定された「目標」と連動する必要がない。というより、連動させてしまうと、それぞれの課題が持つ重要性とは関係なく「重要課題」が認識される弊害がある。「目標」とのつながりが意識されないほうがいい。

 イオンの場合、「グループ事業構造の改革」「事業基盤の刷新」などが目標設定に先立って重要課題として列挙されたのであるが、それはそれでいい。「重要課題」の定義は「それを解決、克服できれば業績の大幅な改善や伸張につながると期待できるもの」だからである。

 設定した「重要課題」の個々に対して、今度は「解決策-アクション・プラン」を考える、というのが「課題解決型の戦略策定法」の定番だ。イオンの場合は図らずもこのステップを進んでいるように見えなくもない。問題は、同グループのビジネスの基本構造-ビジネス・モデル-がすでに大規模流通業ではない、ということを経営陣が共通して認識しているかだ。

 現状の利益構造に対して、流通業大手として邁進してきた役員の皆さんが意図しなかったビジネス・モデルの変容に対して何かコンプレックスを感じたりして、原状回帰あるいは祖業のテコ入れなどを企むと、それは失敗してしまうだろう。

(この項 終わり)

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