2018年3月9日金曜日

【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問(4)

今回被害者とされる伊調選手、暴行事件の被害者である貴ノ岩は、個人競技を闘うアスリートという点で共通している。加害者とされたのは、今回は栄氏、前回は日馬富士で、いずれも組織のなかで大きな権力あるいは影響力を持っている人物である。敬意を持って遇され一目置かれているので、被害者よりも防衛的に扱われ、あるいは忖度が働いているような存在と見ることができる。

 組織として対応しているのは、前者ではレスリング協会、後者では日本相撲協会で、格闘競技の協会だ。

 レスリング協会は前述のとおり「事実はございません」との見解を示し、相撲協会の八角理事長は貴乃花親方に被害届を取り下げるよう圧力を掛けたと貴乃花親方自身が証言している。いずれも組織防衛的に被告発者の権益を守るような言動をして、結果として告発者や被害者の立場を軽視するかたちで対応していた。

 被害者とされる当事者の対応も興味深い。伊調選手は前出「週刊文春」の取材に対してパワハラの事実を認めているものの、報道直後に所属会社を通じて「告発状については一切関わっておりません」との声明を出した。貴ノ岩は、事件の翌日わざわざ日馬富士に謝罪し、傷を押して稽古を行ったと報じられている。

 狭いムラ社会であるスポーツ界で生きる選手たちは、「その後」のことを考えて、事態を荒立てるのをためらう傾向が強いようだ。

(この項 続く)

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